公開:2025年4月8日

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GitLabで実現するサイロのないSAFe

Scaled Agile Framework(SAFe)をDevSecOpsプラットフォームのネイティブ機能にマッピングする方法と、そこから得られるメリットについて学びましょう。

あなたの組織がScaled Agile Framework(SAFe)を導入し、エンタープライズ規模へとスケールしようとするとき、何が起こるのか考えてみましょう。複数のチームが複雑な製品の開発に取り組んでおり、すべての作業を調整する手段が必要になります。しかし、ここでよくある問題が発生します。計画はあるツールで行い、実際の開発作業はまったく別の場所で進められているという状況です。

このような分断は、日常業務においてさまざまな問題を引き起こします。デベロッパーは複数のシステムを行き来し、プロダクトマネージャーは正確な進捗状況を把握できず、誰もが情報を手作業でほかの場所へとコピーすることに時間を浪費します。これこそがまさに、SAFeが解消しようとしている「分断された体験」の典型です。

すでに開発チームがGitLabを使ってソースコード管理、CI/CD、セキュリティを行っている場合、SAFeフレームワークでの計画管理にもGitLabを活用できるのかどうか疑問に思うかもしれません。幸いなことに、GitLabのアジャイルプロジェクト管理機能はSAFeを強力にサポートしています。この記事では、GitLabがSAFeの各種概念やセレモニーとどのように対応しているのかを紹介します。しかも、すべてデベロッパーがすでに慣れ親しんでいる同じDevSecOpsプラットフォーム上で実現できます。

SAFeとは?

SAFe(Scaled Agile Framework)は、アジャイルの考え方をスピードや方向性、顧客重視の姿勢を失うことなく、大規模な組織全体に広げるための手法です。少人数チームで使われる柔軟かつ反復的なアジャイルの進め方を、複数のチームやロードマップ、関係者を抱える大規模組織にも適用できるように設計されています。このフレームワークを活用することで、組織全体の方向性が揃い、計画と実行が一貫して進むようになります。プロダクトマネージャーにとっては、SAFeを導入することで、戦略と実行をしっかりつなげることができ、とにかく早くリリースするだけでなく、チームで方向性を揃え、優先順位に基づいて本当に出すべきものをリリースできるようになります。 SAFeはサイロを減らし、チーム間のコラボレーションを促進するとともに、単なる作業の実行ではなく、「顧客が求める成果」を中心にチームをまとめます。GitLabにSAFeを統合すると、可視性、トレーサビリティ、成果のすべてが、1か所に集約され、その効果はさらに高まります。

GitLabにおけるSAFeの用語対応

まず、SAFeの概念がGitLab内でどのように対応するかを確認しましょう。

SAFe GitLab
Epic トップレベルエピック
Capability サブエピック(レベル1)
Feature サブエピック(レベル2)
User Story イシュー
Task タスク
Team カスタムフィールド/範囲指定したラベル
Sprint イテレーション
Program Increment (PI) マイルストーン
Value Stream トップレベルグループ
Agile Release Train (ART) トップレベルグループ



この対応表をガイドとして活用すると、GitLabをSAFeの実装と連動させて構築できます。グループ構造を使うと、バリューストリームやART(Agile Release Train)単位で整理できます。また、最大7階層までネスト可能なエピックによる作業アイテムの階層構造により、複雑なプロダクトポートフォリオにも対応できる深さを備えています。ポートフォリオレベル(トップレベルグループ)、プログラムレベル(サブグループ)、チームレベル(プロジェクト)といった、どの階層で作業していても、GitLabの組織構造はSAFeの階層とぴったり合致します。

GitLabでのSAFeのセレモニーのサポート

ここからが本題です。GitLab上でSAFeのセレモニーを実際にどう実行するのか、順を追って見ていきましょう。

PIプランニング

チーム間の調整と依存関係の管理を促進し、PIプランニングを成功させるために、GitLabでは以下のような機能が提供されています。

  • ロードマップビューを使用して、複数のチームや期間にわたるフィーチャーを可視化する
  • フィーチャーをPIマイルストーンに割り当てる
  • 見つかったチーム間の依存関係を文書化し、視覚化する

GitLabでは、エピックボード(チームごとの割り当てを表示するように設定可能)とロードマップビュー(ガントチャートのように時間軸でフィーチャーを表示)を使い分けることで、柔軟にPIプランニングを進めることができます。タイムラインかチーム構成のどちらに注目するかに応じて、プランニング中にビューを切り替えられます。

ロードマップビューとエピックボード



ガントチャート付きロードマップビュー

リファインメント

プロダクトマネージャーにとって、効果的なリファインメントを行うには、フィーチャーのバックログを明確に把握しておくことが重要です。GitLabなら、リファインメントをそのままGitLab上で実施できます。会議中に1つのツールを更新して、その後に別のツールを更新する必要はもうありません。

GitLabでは、以下の機能によってリファインメントを効率的に進められます。

  • 状態ごとにフィーチャーを整理できるエピックボード
  • ストーリーポイントを概要ビューで直接確認できる機能
  • 作業アイテムをその場で操作しながら、全体の文脈を見失わない包括的なdrawerビュー
  • エピックから子イシューを直接作成・リンクできる機能

SAFe - 画像3

スプリント計画

次のスプリントでチームが取り組む作業を決めるタイミングでは、GitLabの以下の機能を活用できます。

  • バックログを包括的に確認できるイシューボード
  • ボード上にユーザーストーリーの合計ウェイトを直接表示
  • イシューを簡単にイテレーション間で移動できる機能
  • スプリント間のストーリー移動を効率化する折りたたみ可能なビュー

つまり、すべてを1か所に集約して管理でき、プランニングミーティングではツールを行き来するのではなく、実際の計画に集中できます。

![GitLabで行うスプリント計画](// images.ctfassets.net/r9o86ar0p03f/7KXnAye9JcMZsv7exICm41/a9ee23c95b58c172bd59e61410e58ef6/image4.gif )

  • GitLabを活用したスクラムの進め方については、こちらのチュートリアルをご覧ください。アジャイルプランニングやスプリントの進捗管理におけるGitLabの便利な機能を詳しく確認できます。*

デイリースタンドアップ

デイリースタンドアップでは、チーム全員がボードを囲んで、誰が何に取り組んでいるか、どこで詰まっているか、どの作業がレビュー待ちかを、すべて単一のビューで確認できます。GitLabでは、以下の機能が開発チームのデイリースタンドアップに役立ちます。

デイリースタンドアップのボード

スプリントレビュー

チームの進捗状況を継続的に把握したいですか?GitLabでは、以下のような包括的なメトリクスを利用できます。

これらの指標により、チームのスピードが上がっているか、どこでつまずいているか、そして次回のレトロスペクティブで話し合うべきポイントを明確に把握できます。

バーンダウンチャートとバーンアップチャート

統合プラットフォームが強みとなる5つの理由

SAFeのセレモニーを管理できる計画ツールはたくさんあります。でも、GitLabが本当に他と違うと私が感じているのには、明確な理由があります。

  1. 頭の切り替えが不要 - 計画、コーディング、テスト、セキュリティのすべてを、1か所で完結できます。
  2. すべてがつながっている - 大きなエピックからコード、デプロイまで、作業の流れをたどれます。
  3. 全員が同じ認識を持てる - デベロッパー、プロダクト担当、セキュリティチームが、同じツール上で連携できます。
  4. 完全な可視性 - ステークホルダーは、進捗の確認を1か所で行えます。
  5. 全体像が見える - 計画と開発のメトリクスをまとめて確認できるため、本当の状況が明確になります。

もしあなたの開発チームがすでにGitLabを使いこなしているなら、プランニングのためだけに別のツールへ切り替えたり、複雑なインテグレーションを無理やり組み合わせたりする必要はありません。SAFeプランニングをGitLabに取り込むことで、チーム全体にとってはるかにスムーズな体験が得られます。

実装の原則

私は従来型のSAFeツールからGitLabへの移行に取り組むチームと協力してきましたが、その経験から学んだことがあります。それは、以前のツールをそのまま再現しようとするのではなく、それぞれのセレモニーが何を目的としているかに注目することが重要だということです。

GitLabの利点を最大限に活用しているのは、GitLabのネイティブ機能を素直に受け入れて、それに逆らわずに活用しているチームです。もちろん、SAFeの概念をどうマッピングするか、ワークフローをどう構築するかを最初に整理するには少し手間がかかります。しかし、一度その形ができてしまえば、プロセスは複雑になるどころか、むしろシンプルになります。

成功のカギは、全員が従うべき規則を定義することです。どのラベルが何を意味するのか? チームをどう追跡するのか?エピックとイシューにはそれぞれ何を入れるのか?こうした判断を事前に少し整理しておくだけで、複数ツール間の調整にかかっていた手間を解消できる、直感的なシステムが手に入ります。

導入を始める

さて、試してみる準備はできましたか?GitLabでSAFeを導入するためのステップは以下のとおりです。

  1. 構造を整える - 組織構成に合わせて、グループやサブグループを作成します。
  2. 作業の詳細を定義する - エピックイシュータスクをどのように使い分けるかを定義します。
  3. イテレーションを作成する - スプリントのスケジュールを設定します。
  4. マイルストーンを追加 - GitLab上でプログラムインクリメント(PI)を表すマイルストーンを作成します。
  5. ボードを構築する - セレモニーごとに異なるビューを用意します。
  6. 規則について合意する - ラベルやカスタムフィールドの使い方を文書化し、チームで統一します。

これらのポイントを最初にしっかり考えておくことで、後々のトラブルや混乱を避けられます。そして、初日から完璧にする必要はないことを忘れないでください。運用しながら学び、必要に応じていつでも調整できます。

すべてをまとめる

GitLabは、SAFeを実行するための堅実な基盤を提供します。特に、あなたの開発チームがすでにGitLabに慣れ親しんでいる場合には最適です。計画と開発を同じツール上で進めることで、煩雑なハンドオフが不要になり、コラボレーションが格段にしやすくなり、すべての動きがよりスピーディになります。

GitLabのプランニングツールの魅力は、あなたのチームに合わせて柔軟にSAFeをカスタマイズできることです。 決められた型にはまる必要はありません。チームが成熟し、ニーズが変われば、それに応じて運用方法も進化させることができます。

サイロ化したプランニングにさよならして、もっと快適なワークフローを体験してみませんか?まずは無料トライアルを開始して、GitLabがどのようにSAFe導入を変革できるかを実感してください。

💡 このトピックに興味を持った方は、関連記事のアジャイルソフトウェア開発におけるGitLabの活用法もぜひご覧ください

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